おっさんブログ

60代おっさんの興味本位をつづります

防災意識の高揚

今年、区長になってみて色々考えた。

区長にはいろいろな雑用があるが、もっとも大事な仕事って何だろう?

 

私が出した結論は「町民の安全」。

これは全てのベースなのだ。安全な時代が長く続いてこの感覚がマヒしている。

一人ひとり考えることも大事だが、誰かが全体を見て気配りする必要がある。

 

 

先日、地区自治振興会企画の防災訓練があった。町内の責任者としては事前に計画の中身は知らされていた。区長会での審議?もあった。しかし、実にお粗末なものだ。

地震の合図となるサイレンが鳴ったら、直ちに一次避難場所へ集合というもの。

 

各戸には避難マニュアルというものが今年の初めに配布された。そして、各区長には東京都が作った「東京防災」なる本が2、3か月前に配られていた。

(ちなみにこの本のkindle版は無料だ)

貴重な経験に基づく大事な手順・注意事項が網羅されている。今回の訓練?はそれらを全く無視して、ただ集合。付け足しは「避難経路を確認してもらう」。

 

このような訓練は町民の安全を守るものではなく、危険に陥れるようなものだ。

人間は訓練したことしかできない(それすらできない人ももちろんいるが)。誤ったことを教えればその通りにやってしまう。地震と共に家を飛び出してはだめなのだ。

 

でもそのような意見は全く通じない。訓練をやったという実績を残したいだけなのだ。

地区の責任者レベルがこういうマヒ状態にある。想定震度6強という想定は何の意味も持っていない。その時、どんなことが起こるのか想像もできないのだ。

 

全国各地で地震が発生し、その都度いろいろな問題が指摘される。つまりは他所の地震は他所のことで自分たちには関係ないのだ。だから教訓が生かされない。

 

当町はいち早く、そのような訓練には参加しないと表明した。そのことに対してクレームもつかない。

しかし、何もしないのはもったいない。私が始めた町内報に当町の計画を示し、サイレンを合図にマニュアルに沿った行動をとるよう指示し、集合の必要なしとした。地区の訓練とは真逆だ。

 

これだけでは不十分。サイレンを合図に自主防災組織のメンバーを一次避難場所に集合させ、当町内初の防災会議を開催した。これに先立ち一か月前に町民の防災意識を調べるアンケートを実施し、班長に回収してもらった。

 

防災会議の趣旨は、地震発生時の対応計画(これも今年作成して組織のメンバーには配布済み)の周知とメンバーの意識高揚だ。地震の原因とメカニズムを図で示し、溜まったひずみの解放は周期的に発生し、当地域も危険度は高いことなど、危機を煽る(認識してもらう)ことから始めた。

 

アンケートの結果もグラフで示して実態を知ってもらった。(プロジェクター大活躍)

町民の殆どが家具等の転倒防止や非常食の準備などしていない。地震など来るとは思ってないし、来ても自分は大丈夫と(無意識に)思っているのだ。ここから正さないと他所の二の舞だ。

 

今年は町内報に連載で地震特集を掲載し、意識高揚に努めたが、もちろんこのようなものの効果は知れている。でも続けることは無駄ではない。時には目先を変えて工夫することも大事だ。夏には消防署から係員を呼んで久々の消火訓練もやった。

 

各組織員への実効ある訓練をはじめやることは山積みだ。積み重ねるしかない。地震は防げなくても災害は最小化できる。これを信じてやるしかない。

 

手掛けて初めて分かるが、安全の確保は言葉でいうほど簡単でも楽でもない。ある意味、町民との根競べだ。会社にいた時ほどの強制力もない。

 

防災意識の高揚。自らが強く意識して、後は、焦らず、弛まずだ。